2008年02月18日

第2回「東京マラソン2008」DJ終了!

2月17日天候晴れ。

新宿都庁前8:00現在気温マイナス0.5℃。

高層ビル郡に日が差し込んでいる。快晴だ。
人間が作り上げた創造物と自然光とのコラボレーションは何と美しいことか?
ヨーロッパの偉大な遺跡や建造物などもかすんでしまうほどシャープさと柔和のバランスが見事にマッチしてる。

これまで幾度となく目にした光景だが、すでに集まっている3万人のランナーたち、道の両側を独占するスタートゲート、多くのスタッフたち、、、。このある種異様とも言
える光景はやがてここから一つになり発散していく大きな”生”のエネルギーに飲み込まれ美しい歴史に変わる。

「GOOD MORNING TOKYO!!!」
第一声はこれにした。
この言葉以外何も考えられなかった。僕なりに今回もいろいろな知識を入れて本番に臨んでいるがその現場で見た光景や感覚を第一声にすることを常としている。

「ランナーの皆さんお早う!」すると間髪いれずに
「お早う!」の返事が返ってくる。「よし、掴んだぞ」調子者の僕は用意していたキャッチコール「Yes!TOKYO」の”Yes”と言い放つとスタート地点にいる数千人のランナーたちが”TOKYO!”と返してくれる。皆思いは同じなのだ。うれしいんだ。楽しいんだ。そして東京が好きなんだ。

登場曲はspace・cowboy「we like to party」続く2曲目はビートルズ「レボリューション」なぜかと言うとスポーツの原点(主に球技だが、観客とプレイヤーを成立させる土壌を作った)はイギリスなのでリスペクト。3曲目はビリー・ジョエル「マイ・ライフ」’70年代後半のこの曲は当時ニューヨークでのジョギングブームの際に大ヒットしたからだ。その後アメリカは健康志向がさらに上がりリーボックのトレーニングシューズが馬鹿売れした。

曲間に昨年よりバナナの数が増えたこと、紙コップが3倍の66万個あることなどを告げると大歓声が沸き起こった。この場に及んで注意事項やマラソンの極意など要らない。みんなこうした生きた情報が欲しいからね。
車椅子男子の副島選手や車椅子女子フルマラソンただ一人参加の土田選手を紹介。続いてエリートランナー、アテネ6位の諏訪、昨年同大会3位の入船、昨年優勝のジェンガを紹介。ゲストランナーは10kmの部’68年メキシコ五輪銀メダルの君原健二66歳!!!バルセロナ五輪銀メダルのご存知有森裕子さんらを紹介。
昨年は悪天候も有りこうした選手をきちっと紹介できなかった反省があったから今年はこれは絶対に外せない。実力者や偉大な功績を残した人は何度でも紹介したい。それでなくても先進国でオリンピックメダリストがすぐに忘れられてしまうここ日本だ。今以上に国を背負って走った君原さんの当時の胸中たるや想像を絶するだろう。こういうアスリートが目の前にいることと同じコースを走ること、またコースですれ違うことができる大会。それも今大会の魅力の一つなのだ。

8:54分
石原都知事の開会宣言に続いて六本木合唱団(’99年「エイズ撲滅チャリティコンサート」をきっかけに作曲家三枝成彰さんを中心とした男性合唱団)による国歌斉唱。

9:05分
「車いす」の部スタート!

9:10分
エリートランナー、一般の部スタート!

さあ、第2回目が始まった!紙ふぶきが舞う、ランナーの気勢が上がる、合唱団が歌う!未曾有のステージが今年も再現された。

合唱団の後を受け場内の音楽はアップテンポのJAZZにした。威勢のいい曲も選択肢にはあるがランナーが勢いが付き過ぎては大変だ。今年はJAZZにしてみた。徹夜で作業した多くのスタッフと十分に自分をケアしている参加ランナーたちと何より天候が味方してくれて今年も無事故でスタートを切ることができた。

3万人がスタートゲートを通過するまで約30分間DJの僕はJAZZを流し続け最初の1kmから5kmまでのコース紹介と煽りのコメントをする。全員が通過した。大きな進行のトラブルも無い。スタートの現場スタッフとまず最初の関門をクリアしたことを喜ぶべく握手をした。そんな余韻に浸るまでも無くすぐにゴールの有明まで移動。今年は、貸切のはとバスで移動した。

「今年はさすがに2回目すべてが順調です」
スタッフが言う。高速で新宿からお台場方向へ向かう車中からは臨海の高層ビル郡が見える。この広大なパノラマもなんて清清しいだろう。僕はこの仕事をしていて幸せな瞬間の一つなのだ。”終わりよければすべて良し”ではなく、”喋る仕事は初め良ければすべて良し”なのだ。


ゴール地点の有明に着く。さすがに海沿いの風はあるがフィニッシュに向けて吹いている。これもラッキー。風がやまないことを祈りつつDJブースへ向かう。
今年は日本テレビのオンエアーだ。多くのアナウンサーが出場している。フィニッシュには徳光さんや欽ちゃんらが生放送をしている。
また昨年の14から26に増えたエンタメの一つここ有明のステージでは次々とステー
ジが展開されている。(ステージカーは電力が太陽光電力)もちろんここフィニッシュ地点にも人の”生”の鼓動が渦巻いている。3万人のランナーを迎える準備は万端だ。

テレビの中継と会場を映すビジョンも昨年より見やすい位置に設置されランナーたちの表情を捉える。車いす副島がまず入ってきた。1:27’15”で2連覇を達成。
続いてエリートランナー。昨年優勝のジェンガ(ケニア)が遅れている。日本期待の諏訪、入船も苦しそうな表情をビジョンが映している。先頭はスイスのロスリン。昨年大阪での世界陸上にも出場し銀メダル。すでに北京五輪代表に内定済み33歳ののりに乗っているランナーだ。15日の会見でも他の選手と比べ終始余裕の表情だったのを僕は思い出す。これはいける!ロスリンは堂々たる走りでゴール!しかも自身の持つ最高記録を更新して2:07’23”という好記録のおまけ付き。

「東京は大好き。この自身を北京に繋げたい」
レース後も同じく余裕のコメントをしたロスリンは北京でも優勝候補間違いないだろう。しかし2位には僕が知らない日本のランナーが入ってきた。藤原新(あらた)JR東日本の選手だ。何と2:08’40という堂々たるタイムで日本人トップ。昨年の「びわ湖マラソン」で初参戦したレースナンバー183番という伏兵は東京どころか北京に向けて関係者にうれしい衝撃を与えてく れた。フィニッシュ地点は大騒ぎになっている。
一方、諏訪は4位、入船は5位、ジェンガは13位に終わった。こうした結果も筋書きがないスポーツの特徴だ。筋書きをもってしても生身の体が見せるパフォーマンスは本番までわからない。それがスポーツなのだ。


そうしたエリートたちの素晴らしいレースの後に一般ランナーの姿が見え始めた。3時間、4時間と過ぎ続々とゴールするランナーたち。昨年もそうだったけどDJのコメントは「お帰りなさい」という冒頭の僕の気持ちを今年もランナーの向けてコールした。42.195kmを完走したのだ。お帰りなさい、これが僕の素直な気持ちなのだ。音楽は!64年東京五輪当事の「自動車ショーの歌」(小林旭)、’68年メキシコ五輪当時の「365歩のマーチ」(水前寺清子)などから、ビートルズ、ストーンズ、スティービー・ワンダー、から最近のJ−POP(mihimaruGTやorennge Range,monky magicなど)で5時間、6時間、そして制限時間の7時間と繋いだ。

完走は昨年96%を越え97.8%だった。石原都知事は当初これまでのマラソン大会の制限時間である5時間という枠からこの7時間にこだわったという。多くの完走者を生み出したいから。というのが理由なのだがその優しい気持ちがこの大会の成功を導いていることは明白なのだ。ランナーはだから無理をせずに自分のペースで楽しんで参加できるわけだ。東国原知事も完走。日テレアナのラルフさんも完走、凄いなあ。あんなに忙しくても走りぬいてしまう。人間は凄いなあ。お疲れ様でした。あ、そうそう、なんでも来年は5万人参加の大会になるそうだ!いやあ、これは楽しみだなあ。

ランナーは思い思いの表情を見せた。仮装する人、カップルで手をつないでゴールする人、徳島からのグループは阿波踊りをしながら帰って来るその中に走るドクターもいる。皆それぞれに時間をやりくりして練習をし6倍の応募者から選ばれた。中には病気を克服しての参加者もいる。ここまでの自分の人生をマラソンに重ね合わせているに違いない。マラソンとはそれを感じられるスポーツなのかもしれない。





みな満足そうな表情だった。喫煙所で僕は一人のドクターと話した。

「今年は怪我人とかはいかがですか?」
「いやここまで大きなトラブルは無いです、いいですね」
「あの走ってるドクターたちは?」
「元々は走り好き、もしくはジョギングクラブに入っている方々ですよ」

一服しているドクターは穏やかな表情で話してくれた。喫煙者はいまや肩身が狭いが煙草を通じて人には人を繋げる魔法があるんだ。ああ、無事故で大会が終わって良かった。


7:00に新宿都庁前スタート地点に入り8:30から16:30分まで喋り続けた。しかし疲労感が無い。それは僕も走りぬいたような達成感なのだろう。スポーツのDJ実況は終わった後に必ずこの達成感がある。だから僕はこの仕事が好きなのだ。本番までの取材や調べる時間はアスリートのトレーニングに似ている。そして本番の喋りはレースと同様に様々な障害を乗り越えてゴールに向かう。
少しは参加しているアスリートに近づけたか?
アスリートは楽しんでくれたのか?

その疑問の答えは来年になるだろう。エンディング曲はジャーニーの「Don't stop Believin'」にした。”信じることをやめるな”今大会のすべての関係者、ランナー、そして自分に向けての選曲だった。

posted by SportsDJ Yuji Yamamoto at 22:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京マラソン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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